モンテッソーリ教育について

~はじめに~

これまでの日本では一般的に乳幼児期はそれほど重要視されず、「教育は小学校に入ってからやればいいんだ」といった考えが主流でしたが、2018年に施行された教育・保育要領等でやっと乳幼児期の大切さが明記されました。
モンテッソーリ教育の創始者であるマリア・モンテッソーリは今から110年以上前に子どもたちがもって生まれてくる潜在能力に着目し、子どもの持つ限りない可能性を引き出すメッソドを生みだしました。それがモンテッソーリ教育の始まりです。
それではなぜ乳幼児期が大切なのでしょうか?それは人生におけるすべての基礎(土壌)がこの時期の経験を通じて形成されるといっても過言ではないからです。
人生を花に例えるならよい土壌に種を蒔いてこそ、しっかりと根を張り、丈夫な茎や葉が育ち立派な花が咲きます。少々の雨や風(苦難)に打たれても土壌の中の根がしっかりしていれば倒れてしまうことはありません。
この園ではモンテッソーリ教育を保育の根幹に置き、モンテッソーリの考案した教具だけでなく、子どもたちが毎日過ごす環境のいろいろな場所、場面にモンテッソーリの理論を生かす工夫をし、よき土壌の一端となることを目指しています。

はじめに

モンテッソーリ教育ってどんな教育?

皆さんはモンテッソーリ教育と聞いてどのようなイメージを持たれますか?

モンテッソーリ教育ってどんな教育?

世界的にも著名な人(オバマ元米大統領、グーグル、アマゾンの創始者、イギリスの王子など)が幼児期にモンテッソーリ教育を受けていらっしゃるので、英才教育や早期教育といったイメージが大きいかもしれませんが、決してそうではありません。
モンテッソーリは子どもをよく観察することで、「子どもは自らが成長していこうとする力をもって生まれてくる。できないことがあるとすれば、適切な時期に適切な環境が与えられず適切なやり方を知らないからだ。これらのことをクリアするなら子どもは自らの力で成長することができる」ということを発見しました。そして、生理学や人類学、教育学などに基づいてモンテッソーリ教育の基礎理論が出来上がりました。
モンテッソーリ教育では考え方のすべてが「子ども」を観察し、「子ども」を中心とした姿から出発しています。子どもを一人の人格者として尊重しており、大人の付随物といった扱いは一切ありません。ですから、大人が子どもよりも上の立ち位置で「教え込んだり」するのではなく、大人(保育者)は子どもが自ら成長することを手伝う援助者的な役割に徹しています。つまり、子どもの発達の特徴を理解し、適切な環境を用意し、子どもが必要としたときに子どもにかかわり、子どもが自ら育っていくのを手助け(お手伝い)する教育方法です。

教育の鍵

教育に欠かせないものは何でしょうか?それは「集中力」です。大人だって自分の興味や関心がないことを押し付けられて長時間させられることは苦痛です。子どもも同じです。
いかに、子どもたちに「やってみたい」「触ってみたい」という気持ちを持ってもらう環境を用意できるか…がポイントです。その気持ちが持てれば、子どもたちは同じことを何度でも繰り返し繰り返しやり、そのあとにはやり遂げた満足感や有能感、主体性、自分で選んだことを最後まであきらめないでなし得る忍耐力、物事に取り組む集中力などを得ることができます。
その例が、プロ棋士の藤井聡太さんです。彼も幼児期はモンテッソーリ教育の実践園に通園していて、そこで画用紙を組み合わせて作るハート形のカバンを何日も何日も作り続けて最終的には100個以上のものを作ったという逸話があります。現在、彼はプロ棋士として素晴らしい成績を上げていますが、長時間に及ぶ対局にも集中を切らすことなく挑める凄さがよく話題になっています。

教育の鍵

モンテッソーリ教育の「お仕事」と「敏感期」

モンテッソーリ教育における教具や教材では、
子どもの成長に応じて色々な要素が含まれたものを準備しています。

色がきれいであったり、子どものサイズに合ったものであったり…子どもたちにとって
「やりたい!」という意欲にかられる魅力のあるものばかりです。これらのものを通じて子どもが活動することを「お仕事」と呼んでいます。また、生まれ持った力が自然に成長するための「やりたい!」という気持ちが起こる時期を「敏感期」と呼んでいます。
モンテッソーリ教育の「お仕事」は、〈日常生活の練習〉〈感覚教育〉〈言語教育〉〈算数教育〉〈文化教育〉という領域で構成されています。
領域といった言葉でくくってありますが、これらは一つ一つが孤立したものではなく、すべて人間が普段、生活する上で無意識化の中に行っていることです。
しかし、乳幼児期の子どもにとっては、身体的機能もまだ未熟なので、子どもたちが「よく見られるように」、「よく聴けるように」、「よく触れられるように」、「よく動かせるように」、「よく考えられるように」とあえて一つ一つのものをよく理解できるようにピックアップしたものを教具・教材に入れているのです。
そして、このような「お仕事」のプロセスを得て、身体面も精神面もすべてが成長したあかつきには、無意識化において自分で自分がコントロールできるようになり、自信や自己肯定感にもつながっていくのです。

モンテッソーリ教育の「お仕事」と「敏感期」

~おわりに~

おわりに

モンテッソーリが言った言葉に「聞いたことは忘れる、見たことは覚えている、やったことは忘れない」といったものがあります。
乳幼児期は、まさに体験すること、経験することが大事です。自分が体験したことは体に染みついていきます。長い間乗ってなかった自転車でも、自分が体で習得したことは、少し練習すればまた乗れるようになるのがいい例です。
子どもたちにもこの乳幼児期にバーチャルではない本当(本物)の経験をたくさんさせてあげることが、子どもたちがこれからの人生で生涯にわたって使う「生きる力」になっていきます。これらは、教科学習のように点数化できるものではないので、蔑ろにされたり、見逃されてしまう力かもしれません。しかし、このように見えない力こそが、「生きる力」として子どもたちの土壌に根付くことが大切だと園では考えます。
「自分で考え、自分で行動できること」こそが、心身ともに本当に自立(自律)した姿だと言えます。
モンテッソーリ教育を実践していて感じることは、この教育は子どもの育ちを援助しているだけでなく、大人(保育者)自身も大きく成長できるということです。

モンテッソーリ教育に興味・関心を持たれた方、詳細をお知りになりたい方は是非一度園の方をお訪ねください。
見学等は基本的にはいつでもお受けしていますが、園の行事等に重なったりする場合もありますので、まずはお電話にて見学のお申し込みを行ってください。

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